Special talk Ambassador Misamaru & Designer Tak
KUDEN by TAKAHIRO SATOのグローバルアンバサダー・みさまるさんとデザイナーTakahiro Satoの対談の模様をお届けします。
何故アンバサダーをオファーし、何故引き受けたのか、KUDENについての思い、そして着物に関する互いの考えや撮影の思い出など、前後編に分け大ボリュームの内容でお届けします。
*このインタビューはオンラインシステムを利用して行われました。
*この記事は2020年10月に行われたインタビュー内容を元に編集されています。
*インタビューの内容は動画でもご覧いただけるよう、現在準備中です。
前編はこちらから>>「アンバサダーみさまるさん&デザイナーTakのスペシャル対談(前編)」
—お二人は今まで海外で訪れた中で印象的な場所はありますか?
[みさまる]
イタリアのミラノが一番印象に残ってて、すっごいお洒落な人が多いんですよね。ミラノに行った時、私スリにあったらいけないって思って凄い地味な格好で行ったんですけど、すっごい後悔して。
「ああ着物できたら良かった!」って本気で思ったので、次行く機会があったら絶対着物着ておめかしして行きたいなって思います。
[Takahiro Sato]
是非一緒に撮影しましょう。ちなみに僕は去年イタリアにSamurai Modeで行ってきましたよ。逆に怖がって誰も来なかったですね。目つき悪いんで。
—佐藤さんはどうですか?
[Takahiro Sato]
僕も同じくイタリア。元々イタリアのものつくりが凄い好きなんですよ。
僕、日産整備専門学校中退で、車が凄く好きでやっぱりイタリアの車とか、フィアットとかね、凄く好きで、あとイタリアの車のデザイナーとか凄い好きだったんで、やっぱりイタリアのものづくりと日本のものづくりって凄くシンパシーあるなと。
ものづくりに凄いこだわる、ファッションにこだわる、それから食にこだわるっていうところが凄くイタリア合ってるなって思ってて。
実際去年かな?うちのスタッフにイレーネっていう女の子がいるんですけれども、イタリア人で日本に留学したことがある子で今はイタリアに住んでいて、去年僕がメディアに出たのを読んでファンレターで「一緒に働きたい」ってメッセージをもらって、そんなこんなで「アイディアがあるから貴方イタリアに来なさい」って言われて「え!?」ってなって。「じゃあイタリアになんとか行くわ」って、撮影旅でイレーネを撮影しながらローマ、モンドラゴーネ、ナポリ、それからまたローマに戻ってフィレンツェ、ミラノって半月以上二人で旅して撮影して。今サイトとかに使ってる写真もそうですね。
イタリアの方に僕の服を生で見てもらうと凄く良いと褒めてくださる方が多いのと、やっぱり賞を頂いてる国だったりするので、とっても僕にとっては印象深いです。
僕はどっちかっていうとナポリ人の方に似てるらしくてナポリの方が肌にあいましたけど。ミラノもフィレンツェも凄く素敵な所、ローマも良かったし、また行きたいし出来ればみさまるさんと一緒に行って撮影したりとか、あとはミラノでTENOHA MILANOさんっていう所があってそこでショップインショップもやってみたいなあとか、サロンっぽいことをやってみたいなあっていうのは思ってます。海外で呉服屋やるのが夢ですね。生地持ってきて、「Samurai Mode Seriesにします?トラディショナルな着物にします?」みたいな感じで。要は呉服屋の新しい形をやっていけるような形ができたら凄く嬉しいななんて思ってます。
—イタリアで撮影したいという話が出ましたけど、今行きたい国とそこでしたいコーディネートを教えてください。
[Takahiro Sato]
ちょっと前まではスペインとか良いな、ドイツとか良いなって思ってたんですけど、今はAVESSAが出たんでAVESSAのフラビオにプロデュースしてもらってKUDENのショーとかをアメリカでやりたいなって思ってます。
あと、うちの元々のお願いしているモデルさんも結構アメリカに多くて、この後みさまるさんと同じテーマで海外のインフルエンサーが衣装を着て写真を撮ってみさまる、海外のインフルエンサーで対バンするんですけれど彼にも会いたい。
だからアメリカには結構モデルとか、セレナとかね、彼女たちに会ってまた向こうのコレクションのショーをしたいっていう夢があります。
なので今はアメリカに、コロナでちょっと行けないんだけれども行きたいななんて思っています。
[みさまる]
私はグリーンランドに行って着物着たいなって思ってて、グリーンランドに行くのが割とずっと夢なんですけどなかなか叶えられずここまで来てますけど。
グリーンランドの雪とか氷の上で真っ白な着物着たいんですよね。映えそうだなって思って。
[Takahiro Sato]
やりましょうKUDENで。でもみさまるさん過酷じゃないですか?寒くて。
[みさまる]
いやもうそこは気合で。
[Takahiro Sato]
モコモコしてそう、こういうの着けて。
[みさまる]
いいですね、それはそれで。
—海外で着物を着るという話が出ましたが、お二人に着物についてもう少し詳しく聞かせて頂きたいです。着物の好きなことろはどんなところですか?
[みさまる]
可愛い所。やっぱり着るとテンションが上がるし、気合が入る所ですかね。
[Takahiro]
僕は最初着物、このNext KimonoをデザインしてSamurai Modeを作ろうと思って最初に取り掛かったのが着物の良さの要点を抜くっていうことを凄く考えてて、「着物って何が、何で美しいんだろう」ってのは凄く、ずっと考えてたんですね。
僕なりの解釈では、着物って一枚布なんですよ。こうやってやってるだけだったらただの布だったのに、人体にまとわりつく事によってシルエットが美しくなっていったりとか流れができたりとか、まとわりつくこの、何ていうんでしょう。そういうところの美しさっていうのが着物だなって思ったんですね。
だからパターンを考える時にこの人体にまとわりつく、っていうことをイメージしたパターンとデザインと生地を選んだんですね。だからうちの生地って結構テロンとしてて気持ちいいのはその着物ならではのこういうまとわりつく感じっていうのをどうやったら洋服で表現できるだろうか、なんだったらちょっと誇張してあげて、より”着物じゃないのに着物っぽく見せる””着物じゃないからこそより着物っぽく見せるための要点”はどこかっていうのを一生懸命哲学して、何度も生地とかやり直してデザインをやり直して作ったのがこれという感じですね。
僕としてはトラディショナルな着物を着る時も凄くサイズ感を気にします。多分昔の男性の方って逆に体を大きく見せたいんだと思うんですよ。
だから丈が短くてもここを厚くしてるんで胸板強くドンって見えるんですけど、僕はモードが好きなんでAラインだったり華奢が好きなんですね。だから古いビンテージの着物を昔と同じように着てしまうと凄く肩が張って男っぽく見える。それはその時代は良かったんだと思うんです。それを今風にもっとスマートに着こなすように、でも着物の良さを、僕の体にまとわりついてシルエットが綺麗に見えるっていうことを長着の方でも気にしますね、僕は。
生地が体に、人間にまとわりついて初めて着物の美しさっていうのが出るっていう風に僕は捉えていますね。すみません、抽象的ですけど。
[みさまる]
凄い、熱い。凄いですね、それだけ考えて作られてるんですよね。
[Takahiro Sato]
考えました。
まずミシンを買いました。シャツを縫ってみて、専門学校の教材とかも取り寄せてみて、全部一応勉強して、「うん、これはやっぱりプロの人に頼むのが一番だな。」って。全部自分でやってみてって感じですね。洋裁と和裁の違いを勉強して。
ちょっと蛇足ですけど和裁ってまた布に戻せるように作るんですよね。洋裁っていうのは逆に人に合わせるんですよ。だから布から布に戻す、そのメリットとしては成長したりとか誰かに渡した時にも着物になるんですよね。と、いう風に思想が始まった和裁と、その人の体に合わせて仕立てていくっていう洋裁の違いっていうところを良い所取りできないかって凄く考えて1年かかっちゃいましたね。だからできた時すげー嬉しかったです。すみません、蛇足でした。
—では逆に嫌いというか、ここは改善した方がいいというポイントはありますか?
[みさまる]
ここ最近の夏ほんまに暑いんですね、着物着てると特に。
麻素材だと「いや洋服より涼しいわよ」っておっしゃる方いらっしゃるんですけど、麻は正直高いので若い世代は買いづらいっていうのがあって、ポリエステルの長襦袢とか夏物の着物でもポリエステルを使う若い世代っていうのは、着物を着る人で多いかなって思うんですけれど、ポリエステルの素材って凄い汗をかくとまとわりつくんですよ悪い意味で。
そうするとちょっと肌触りがあんまりよくなくなってしまうので、汗をかくと。その辺ちょっと改良が必要かなって思ってて、私もう来年の夏に向けて着物を改造したんですけど、袖を失くしました。
[Takahiro Sato]
大胆!
[みさまる]
江戸時代の農民の方とか結構ラフに袖がなかったりとか、男性でも膝上丈で着てる方とかがいて、これめっちゃいいなと思って。
それを真似して、お端折りがあるとちょっと夏場暑いかなあと思ったので、もう膝上丈にまで切っちゃって、袖もなくして、できるだけ涼しく過ごせるようにっていうのを考えて、来年の夏用の着物を自分で今作りました。
[Takahiro Sato]
それは来年のみさまるコーデで発表されるんですか?
[みさまる]
します。
[Takahiro Sato]
よく考えたら庶民の人たちは自分の仕事とかスタイルに合わせて着方とか絶対直してますよね。
[みさまる]
やっぱり貴族の方とか上流階級の方とかの着物スタイルっていうのがピックアップされがちなんですけど、庶民の人たちの着物こそ実用的で素晴らしいっていうのを、広められたらいいなーみたいには考えてます。
[Takahiro Sato]
この間テレビでNHKさんでも着物特集してましたけど、BOROとか。あれも結局庶民の人たちが着物をたくさんは買えないから直しながら着て、作って色んな生地を合わせてやったのが今良いって言われてたりするから、温故知新、守破離、色々あって僕も凄くいいなって思いますよ。
—佐藤さんは苦手な部分などありますか?
[Takahiro Sato]
着付けです。やっぱりシルエットにこだわるタイプなので自分の着付けイコール着こなしにイコールなんですよね。
凄く楽しいところではあるんですよね。要は服が似合う似合わないだけじゃなくて着付けの良し悪しによってもシルエットが出てしまうってところが凄く悔しい。
僕も今着付け勉強してるんですけど、理想とのギャップっていうところを埋めていけないのが凄く悔しくて、だから楽しみでもあるし憎しみでもあるしみたいな。良い意味で着物ってホビーにもなれるし日常にもなれるし、凄く懐が広い文化なんだなって凄く思ってます。でも着付けが憎いです。僕ももっと上手くなりたい。
[みさまる]
難しいですよね。
[Takahiro Sato]
できる人は凄い尊敬します本当に。
—着物を自由に着ることの意味と哲学を教えてください。
[みさまる]
私、日本と世界の服飾史を個人的に勉強してるんですけど、歴史的にみても世界的にみても、男女差とか身分とか宗教の違いによって服装が定められてないというか、日本って自由じゃないですか。
それって凄く恵まれてることだと思うんですね。だから洋服はもちろん自由だし、着物も今恵まれてる社会に反映させたいというか、自由さを。そう考えて、やっぱり自由な方が楽しいっていう気持ちもあるんですけど。
やっぱり恵まれてる環境っていうのを最大限に生かして着物を楽しみたいっていう気持ちがあって。そういう気持ちでいつも着てます。
[Takahiro Sato]
写真から滲み出てますよね、楽しいって。そこが僕は一番大好きなところですみさまるさんのコーデで。
僕としてはやっぱり元々性格が天邪鬼なので、元々音楽もやっててファンクロックとかジャジーな方いくパターンだったんでどうしてもその”ちょっと外す”とか。
うち実は着物ブランドでは珍しく外側ってあんまり派手にしてないんですよ。僕の趣味で、隠せるところにお洒落とか、派手にしたりとかするのが僕は粋だっていう哲学なんですよ。
だから今準備してるのはここのジャケットの裏に、本物の羽織ってよく絵とか描いてあったりするんですけど、それを現代版のアートをプリントしたジャケットを作ろうって思ってやってたりとか。どうしてもその、隠れたお洒落とか、ちょっと粋な心っていうところが凄く僕は哲学としてあるのと、あとは引き算の美学。何か困ったら引いていきたいっていうのがあるんです。結構最近若い着物クリエイターさんって足して足して足してっていう、それもまた個性なんですけど、でも「引いて引いてその人の魅力が最低限のところで構成されるところはどこだ」みたいなのが僕がデザインしている哲学で。
自由には色々あると思うんです。色々つける自由もあればつけない自由もあるし、見せる自由もあれば内に秘める自由もあるから、そういう中でKUDENは内に秘めたりとか凛とした気持ちとか、そういう空気感とかブランド感とかを凄く出していきたいし僕の着こなしはそういう風にしていきたいなって思ってます。
あとはトラディショナルな長着も着ますし、ヴィンテージの羽織も自分のところに合わせますけど、やっぱりそうは言ってもTPOを崩さない。それって僕は愛だと思うんですね。着て行っちゃいけない場所に着ていくとかはね。そういう配慮ができる人に愛されたいなって凄く思っていて、だから自由なんだけれども時としては愛する人とか大事な人の為に自分の流儀すらも抑えられるような大人の自由っていうのを僕は訴えていきたいなと思っています。
だから僕もトラディショナルな物はトラディショナルに着たい時もあるしわざと崩していきたい時もあるけれども、着たいスタイルだけじゃなくてそれをどこに着ていくのか、誰と会うのかっていうことで匙加減ができるような大人の自由っていうのを僕は海外の人にも広めていきたいなって思っています。
—着物を未来に残す為にはどうしたら良いと思いますか?
[みさまる]
着物を着てて思うのは、やっぱり周りの着物を着たり好きな人たちも自由に着てみたいっていう気持ちもあるけど、着物はこうでなきゃいけない、これは守らなきゃいけないっていう縛りみたいなのがどうしてもあって。私もあったんですけど、今はもう完全にパーンってなってますけど。
皆周りの目を気にしちゃうんですよねどうしても。だからもうちょっと、誰に訴えたらいいかわからないんですけど、着物の自由の寛容さっていうのは必要かなって思います。あれもダメこれもダメじゃなくて、あれも良いねこれも良いねに変えたらいいんじゃないかなって思います。
[Takahiro Sato]
僕はやっぱり経営者でもあるので、A'DESIGN AWARDのソーシャルデザイン部門で受賞した者として、単純にいうと着物を愛する人の分母を増やす。着物に慣れ親しむっていうことを増やす。それが今国内だけ、若い世代だけでも難しいので、今言ったように自由に。
国籍もいいじゃない、着物を愛してくれるんだったら国も性別も世代も超えて「いいよねいいよね」って言える、「それ素敵ね」って言えるような文化が増えていけばいいので僕のKUDENの役目としてはSamurai ModeSeries、Next Kimonoって位置付けで着物を愛する、けれども着付けが出来ないよとか、やっぱり暑い地域で着物の長着はちょっとって、イベントでちょっと着ましたっていうのはいいけど普段自分の日常で着ていくっていうのはなかなか難しいっていう人の問題をデザインで解決してあげて、まずは日常に着物を取り戻す。
それも若い人や海外の着物好きが日常に着物に触れるっていうファンクションとしてこれを広めつつ縫製工場や和裁の工場に仕事を増やして、トラディショナルの長着とか普通の伝統的な着物とか織物っていうものに興味を持っていただく分母を増やすっていうのがKUDENのミッションであるし、そこを担っていければ光栄だなあなんて思っています。
だからどこか1社のブランドが強くなる必要はないなと思っていて、それこそ選べるのが幸せだと思うんですよね。モード好きでちょっと着物着たいんだけど時間が忙しい人はSamurai Mode着てもらえればいいし。時間がある人は、僕も凄く好きだからチェックしてるうんですけど、呉服屋さんでも凄く今最近色んなデザインで新しい着物を色んな素材で作ってるブランドさんもいらっしゃるから、欲しいって思う人が着ればいいっていう自由さを皆で認められる文化になったら凄く素敵だなって僕も思います。
—ありがとうございます。ここからはみさまるさんのことをもう少しおうかがいしたいなと思います。佐藤さんはみさまるさんに聞きたいことはありますか?
[Takahiro Sato]
一番やっぱり聞きたいのはみさまるさんが今後活動としてどういったことをやられていくのかなって。
みさまるさん本当に着物クリエイターというか”着物文化クリエイター”みたいなイメージで僕は捉えているんですね。着物文化を広めるためのクリエイティブは全部やってみるみたいな、そういうイメージがあるからどういった軸足でどういったことをやられていくのかなって、個人的には凄く興味があって、そこでKUDENのアンバサダーになって頂いたんで僕も何かお力添えができることがあれば、あるのかなあなんてことを個人的に凄く思ってます。
[みさまる]
今後も今までと相変わらず自分の好きなように着物作りたければ作ってリメイクしたかったらリメイクしてコーディネートも自由に組んでっていうのはやっていきたいなって思ってるのと、TwitterメインでSNSでは活動してるんですけど、フォロワーさんたちに本当に支えてきて頂いたなっていう意識が本当に自分の中で強くて、誰かと今後、KUDENさんでもKUDEN以外でも誰かと何か協力してやっていくにしても、私のフォロワーさんのことまで考えてくださる方とじゃないとちょっとやりづらいかなっていうのもあって、KUDENのことは本当に一個人として応援したいし凄い好きになったから、今後国内でもそうですし世界的にもどんどんどんどん上を目指して活躍の場を広げていって欲しいなって思うブランドさんなので、私に協力できることがあったらどんどんしていきたいなって思ってます。
[Takahiro Sato]
みさまるさんに最初モデルのお話をさせて頂いた時に凄く、僕も思ってるのが、みさまるさんて凄くフォロワー大事にするんですよ。
一番最初にみさまるさんを見つけたの僕なんですね。「みさまるさんって知ってる?」って。いいなって思ったのがみさまるさんはフォロワーのこと凄く大事にしてて、着物を着る人に対する目線が凄く優しいなって。
ごめんなさい、これ言って良いことかわからないんですけど、僕は母親を亡くしていて着物は母親からっていうのがあって、みさまるさんもお父様のツイートをみた時に目線が凄く優しいなって思ったんですよね。
だからそこを僕も壊したくない。今回KUDENのアンバサダーをお願いしようと思った時にみさまるさんにお話しさせて頂いたのは、みさまるさんとみさまるさんが大事にしてるフォロワーさんを傷つけたりとか毀損するようなことを僕らもしたくないからって話を一生懸命させて頂いて、今回こうやってお互いの思いを話させていただける動画を撮ってもらったりとかしてなるべくうちも嘘がないように誠実に、なるべく色んな方、お客様にも生産者にも三方良しで出来るように、どこまでできるかわからないですけど、それを力抜くことだけはしたくないって思ってるんで、みさまるさんがそれでもフォロワーも大事にしつつうちも応援してくれるっていうのが凄く心打たれるというか。
僕はみさまるさんとみさまるさんが作ってるコミュニティとか世界観を壊さないブランドであり続けるっていうことをまた一つ心に秘めて、身が引き締まりました。頑張ります。
—ありがとうございます。個人的には、みさまるさんのスタイルの原点を知りたいのですが。好きな音楽や映画などを教えていただけますか?
[みさまる]
音楽、私の中で殿堂入りしているのはBUMP OF CHICKENで、好きな映画はいっぱいあるんですけど「ショーシャンクの空に」かなあ。結構名作ですよね。王道っていうか。
[Takahiro Sato]
どこに惹かれたんですか?「ショーシャンクの空に」の。
[みさまる]
言って良いのかな、最後のシーンの。最後の最後ではないですけど。
[Takahiro Sato]
ネタバレになっちゃいますからね。
[みさまる]
そう、あんまり言えない。私のファッションの原点みたいなところはファッション誌のKERAってあるじゃないですか。あれを読んだ時に、着物のコーディネートもあったんですけど、私がしている以上に滅茶苦茶みなさん自由に着こなしてらっしゃって、そこに凄い衝撃を受けて。読んだのが中学生くらいの時かな。洋服ももちろん滅茶苦茶自由に楽しんでらっしゃるし、着物の回は着物もめっちゃ自由ですし。自由な世界観が好きですね。当時から、今までもずっと。
[Takahiro Sato]
それが前面に出てる感じがする。
—好きな作家や偉人さんはいらっしゃいますか?
[みさまる]
作家さんだと菊池寛と坂口安吾さんが好き。菊池寛大好きで、真珠夫人っていうのが一番有名な作品なんですけど、菊池寛さんでは、めっちゃ読んでます。本も凄い楽しいです。
—お二人は好きな偉人の話で盛り上がったと聞いたんですけど…。
[みさまる]
私、二宮金次郎さん、二宮尊徳さん、たかのりさんって言われますけど、金次郎さんって読んだ方が皆さんわかりやすいかな。二宮金次郎さんがすっごい好きで、それで佐藤さんと凄く盛り上がったんです。
[Takahiro Sato]
幕末とか戦国がくるのかなって思ったら、二宮金次郎ですって言われて。たまたま僕が拠点にしてる、生まれた地の、今は日光市なんですけど旧今市市の今市塾ってところが、二宮、僕はたかのり先生って呼んでるんですけど個人的に。
たかのり先生の亡くなった土地、最期の土地、終焉の地って言われてて、報徳神社っていう祀ってる所があって。元々生まれは小田原、日光と小田原は姉妹都市なんですけど、まあそういう縁もあって。
昔はそんなに好きじゃなかったんですよ実は。「学校にあるなあ」みたいな。金次郎像があるなってくらいだったんですけど、その報徳神社に中学時代の恩師が通ってて、奉納してるんですね。神社に名前が書いてあってよくその、しのぶちゃんっていう男の先生なんですけど、しのぶちゃんが好きだったんで、彼は亡くなっちゃったんでそれを偲ぶのに神社に行ってて、「ああしのぶちゃんいるな」みたいな感じで。それぐらいだったんです最初は。
でも1回僕が前のデザイン会社をハードワークで畳んで体調崩してしまって倒れて潰れちゃって再起する時に、息子が障害があるってことで社会事業、要はソーシャルデザインだったりとか、社会起業家って言葉が最近出てきていて、それに僕が興味を持った時に、盲点だったんですけど二宮金次郎先生の本を読むと社会起業家そのものなんですよね。報徳思想で節約をして身の丈にあったものでコツコツ返し助け合いみたいなところがあって、そうやって数々、色んな村々を再建して最後日光の村を、今市塾を改善していくっていうことを任されてお亡くなりになった。
それを知った時に「こんな身近にベンチマークする人いるじゃん!」ってここ4、5年思って凄く好きになって史実とか漫画とか全部読んで、「ああこれは勉強になるな」って思って去年KUDEN始めた時も報徳神社でお参りしてて。
お願いじゃなくて「企業家として頑張ります。見ててくださいね」みたいな誓いをしてた所で、今回みさまるさんと撮影しててお互い好きな偉人が一緒だっていうので「ええー!?」ってなって、なんか凄く縁を感じてしまって。
渋いじゃないですか。俺が好きならまあわかるかなって思うんだけど、20代の女の子に私二宮尊徳ですって言われて、しかもちゃんとたかのりとか本名を知ってる、これはガチだなって思ってそれがちょっと面白かった。ご縁を感じたなって、その瞬間思いましたね。
—みさまるさんが二宮さんを好きになった、何かきっかけはあるんでしょうか?
[みさまる]
本を読んで、あの小学校にいらっしゃるじゃないですか。ちょっと前かな?数年前かな?保護者の、PTAの方々かちょっとわからないんですけど、「歩きながら荷物を背負って本を読むのは危ないから二宮さんは座らせてください」って要望が出されたみたいなニュースがあって「なんで座らせるんだろう?」って思ったんですね。その当時二宮さんのことは薄らとしか知らなかったので、ちゃんと勉強しようと思って本を読んだらまあ素晴らしい。この素晴らしさは皆さん一回本を読んでいただかないと正確には多分伝わらないと思うんですけど。
[Takahiro Sato]
みさまるさんと二宮尊徳の話で2時間喋れる。
[みさまる]
いやあ、熱い人ですよね本当に。
[Takahiro Sato]
今の日本に必要な経営者の姿だなってやっぱり読んでて思いました。利益追順とか株主の為にとかみたいな事から、働く人、地域を支えてくれる人のことをしっかり念頭に置いた経営者が増えてくれたらいいなって思うし、僕も一度潰した身なので自分の弱さとか甘さみたいなところも含めて、今回KUDENで二宮金次郎さんみたいな経営者になれたらいいかなって凄く心がけていたんで、なんか出会うべくして出会ったのかななんて。
僕は運転しながら、「え!?」って。「なにがいいんですか?え?ああ、危ない」みたいな。本当にびっくりしたし、エシカルで倫理的で労働環境を守るっていうところも、最初僕のA'DESIGN AWARD受賞のメッセージを読んで感動したっていうことの裏付けが分かったというか。
そこまで二宮尊徳さんのこともわかってらっしゃるんだったら僕がどこを目指して経営しようとしているのかがきっと伝わったんだろうなって思って、涙が出るくらい嬉しかったです。運転してたんでできなかったですけど。
[みさまる]
尊敬してる偉人が被るってないですよね、なかなか。
[Takahiro Sato]
ないですよ。しかも言い方失礼ですけど、どマイナーじゃないですか、偉人っていったら。しかも話題の時に国内も海外も抜きにしてって話してて凄く色んな中からのそのチョイスでびっくりしましたね。尚更経営者として嘘のないブランドであり続けなきゃなっていうのを凄く思いました。
—社会起業家として二宮尊徳さんを尊敬しているとおっしゃっていましたが、佐藤さんは社会をよくしたいという願いや目標を持ってKUDENや服をデザインしていますよね。
KUDENのブランドコンセプト「大切な人に伝えたくなるもの」にもその思いが込められていると思いますが、お二人にとって「大切な人」は誰でしょうか?
[Takahiro Sato]
皆大切ですけどね。でも一人と言われたら、今は離れて暮らす10歳の驍(たける)という中度知的と自閉症の男の子がいるんですけど、一回体壊して家族とも別れて離婚して息子とも離れ離れになった経験の原因、あと前の従業員の子たちも申し訳ない状況、自分が苦手なことに再度挑戦しなきゃならなくなったというか、しなくちゃいけない、僕がやらなきゃ誰がやるって感じで思ったのがやっぱり息子。
自閉症がある子の親御さんとかだったらわかると思うんですけれども、彼は中度知的もあるので知能があまり上がっていかない。今でも10歳ですけど心は5歳6歳のところで、本当に無邪気で天使のような子なんですけれども、考えるのはやっぱり僕も一回死にかけたので、自分が死んだ後のこと。
あと僕は昔大きなおもちゃ会社で障害者雇用の担当をしていたことがあります。その時僕は結婚もしてなかったし息子もいなかったんで、自分の息子が障害を持つことになるとは思ってなかったんですけれども、ご縁で面接をさせて頂いて栃木の施設で清掃だったりとかに雇用するっていうので面接をしたことがあったんですけど、結局それは数年して東京に拠点を移転するみたいな、企業の事情によって解雇をしなきゃいけなくなったっていうような経験があるんですね。
やっぱり地元の人から、障害者の親御さんからすると大きな安定したところに自分の子供が採用されたってことで凄く喜んだのを見てるんですよ。それをクビを切らなきゃいけなかった辛さが凄く残ってるんですね。
僕がデザイン会社やって何でアパレルとか縫製の方にきたかっていうと、デザインとかの仕事だけだと障害がある子が仕事が選べない。何でもできるわけじゃなくて色んな仕事の中のこの1点部分を一生懸命やるみたいなことが特に多いので、息子に、一緒に働く夢、今一緒に暮らせなかったりするんですけれども、せめて髭面でニキビ面になったら可愛い可愛いしようかなと、夢があるんですけど、その為にKUDENとか僕がもう一度再起して、その時の心情を表したのがこのSamurai ModeのSamuraiって名前についていて、みさまるさんの前にReActっていうかんばらけんたさんのダンスに現れていて、全てに置いて彼のために奮起するってことがあって連鎖がつながってるような気がするのでやっぱり息子。
それとこのKUDENにインスピレーションをくれた、もう亡くなった凄く愛してくれた母。苦労した中で支えてくれた母親。もちろんスタッフもとても大事にはしているんですけれども、強いていうとその二人かなあなんて思います。
[みさまる]
私が大事だと思っているのは今私と関わってくださってる皆さんなんですけど、特にいうとしたら母と友達、着物友達とやっぱりフォロワーさんかなあ。
私着物を着始めた時、最初から和洋折衷だったって言ったじゃないですか、やっぱりあんまり今以上に様になってなかったのかなと思うんですけど、結構ネット上でもリアルの世界でも注意されることが多くて、全然地震がなかったんですね自分の着姿に対して。
着物着ること自体は楽しいけど、着物着て街に出ると誰に声かけられるかわからなくて、また怒られるかもしれないなとか思ってたんですけど、フォロワーさんたちが毎回毎回褒めてくださったりとか励ましてくださって、本当に自分に自信が持てるようになって堂々と街を歩けるようになってから本当にこう最近全く叱られないというか、むしろ褒められるようになって、声かけられるとしたら、ネット上ではまだ私のことを注意したいって方はいらっしゃるかもしれないんですけど、仕方ないなって思うんですよ。
だから本当にフォロワーさんたちのおかげで自分の中の自信が生まれたので、本当に感謝してますしこれからも大事にしたいなって思ってます。
[Takahiro Sato]
みさまるさんとフォロワーさんとのやりとり見ると逆に今はみさまるさんに凄く勇気もらったっていうコメント多いですもんね。
[みさまる]
凄い嬉しいですね。
[Takahiro Sato]
恩送りしてる感じですよね。みさまるさんがフォロワーさんに勇気をもらったものを、今度はみさまるさんが返してたりとか、お互い凄くいい関係性だなって、いつも見てほっこりしています。
[みさまる]
ありがとうございます。嬉しい。
—今後、お互いに期待していることを教えてください。
[Takahiro Sato]
もうみさまるさんでずっといてくださいってことかな。
僕も一応経営者だし年上だから、僕がみさまるさんの魅力だなって、みさまるさんのいいところって思ってるのってやっぱり、しなやかさ。しなやかさとバランス感覚とやっぱりこの人、人好きだなっていうことがあって、そういうことだから何をしてても、笑顔が絶えないというか、自分も元気付けているんだろうけど、きっとそれで周りの人の気持ちもぽっと明るくできるようなことの、表現がたまたま着物であるという感じがしてて。
これからのみさまるさんがどういう風に歳をとって素敵になっていくのかっていうのをKUDENで見守りたいなっていう、お父さんみたいなんですけど。
何をしてほしいとか、こういうことって言うよりも、楽しみ。読めないところも含めて凄く僕は楽しみかな。着物の守破離をみさまるさん流に表現していってもらって、僕らがこうやって見られる場所にいられたら凄く嬉しいなって思います。
僕は何もオーダーなく、見守っていく、どこまでいくのかどうなっていくのかっていうのが凄く期待していることです。
[みさまる]
ファッション業界でもっともっと注目される存在になって欲しいです。縫製工場に対する意識の高さっていうのはさっきも言いましたけど、本当に世界的に最先端のブランドだと思ってるので、何回も言ってますけど。
だからもっともっとお色んな方に知っていただきたいなって思います。
—今後一緒にやりたいことはありますか。
[みさまる]
また撮影ご一緒したいです。
[Takahiro Sato]
是非是非やりたいです。テーマ決めて、監督変えてやりたいですね。新井さんバージョンとか、色々。あとTarikとか海外のモデルとみさまるさんバチバチしてもらいたいです。モデル同士のね、こう、やってもらいたいですね。
[みさまる]
あ、あと二宮さんツアーやりたいです。
[Takahiro Sato]
是非是非、日光にも遊びに来てください。報徳神社とおいしいかき氷をご用意させていただきます。
—佐藤さんはいかがですか?
[Takahiro Sato]
撮影もっとしたいのと、動画やりたいなって。
元々僕もゲーム系の制作とかもやってるんで、動画とか音楽も凄く気になるんで、オリジナルの楽曲で動画をみさまるさんと撮りたいなっていうのがあるのと、あとみさまるさんのこの間のレースが凄く可愛くて、本当は衣装って思ってたんですけどちょっと販売したいなって思ってるのでみさまるさんモデルみたいなものを、なんか商品でコラボレーションさせてもらってみさまるさんの感性で服が作れたらなあなんて思ってます。
[みさまる]
このレース本当に売れます、絶対に。
[Takahiro Sato]
おばちゃんたちめっちゃ喜ぶと思います。でもゴムが強すぎたんで、ここはもうちょっと緩くするべ〜ってこの間おばちゃんたちが話してました。
[みさまる]
もう緩くされましたら完璧。
[Takahiro Sato]
急いで作ったけど、これコール下げた方がいいわぁとか。おばちゃんたちがわちゃわちゃしてました。お菓子食べながら。
—それでは最後に、ご自身にとって着物とは?
[みさまる]
自由に楽しむものです。
[Takahiro Sato]
日本人、というか日本文化を愛する人の皮膚。みたいな感じかな。
[みさまる]
深い。
[Takahiro Sato]
あれを纏うと、日本人、日本人性みたいなのが呼び覚まされるような気がします。長年DNAで着てきた記憶が蘇ると言うか。
—お二人とも本日はありがとうございました。
アンバサダーみさまるさんの最新情報はこちらから
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