私の息子には障がいがあります。自閉症と重度の知的障がいです。そう打ち明けると、あまり深い関係でない場合、多くの人は言葉を選び、少し気まずそうな顔をします。でも、職場でたった一人、『どんな障がいなの?』と真正面から聞いてくれた人がいました。それが、「マイペース」「空気が読めない」と周囲から言われていた定年間近のKさんでした。 息子の障がいが分かったのは息子が2歳半の時で、当時の私は会社員でした。職場や関わりの深い人には、息子に障がいがあることを軽く話すようにしていましたが、職場では深い話になることはほとんどありません。多くの人が「あまり詳細を聞くべきでない」と空気を読む中で、空気の読めないKさんだからこそ、この質問をしてくれたのだと感じました。私にとってはとてもありがたかったことですが、そこでふと、自閉症という障がいは、とても一言で説明しきれるものではないということに気付きます。 友人関係のように話す時間がたっぷりあるのであれば順を追って説明ができますが、限られた時間で伝えるにはあまりにも複雑です。自閉症は「スペクトラム」と呼ばれるように、ひとくくりにできるものではありません。 息子の場合は、多動や言葉の遅れがあったり、気持ちをうまく言葉で伝えられなくて手が出てしまったりします。 他の子は、手が出ることはなくても、突然大きな声を出したり、呼んでも反応しなかったりします。 その子によって困りごとも反応も、本当に違うんです。 だから「自閉症ってどんな障がい?」と聞かれた時、とても一言では表現しきれなくて、正直「自閉症の説明書でもあったらなぁ…。」と思うことが何度もありました。そこで私は、「だったら息子説明書を作れば良いんだ!」と考え、自分の息子の特徴を簡単にまとめたA5サイズの紙を作り、聞かれたときに渡すようにしました。「息子はこういうタイプの困りごとがあります。」と書かれているだけで、相手の理解がぐんと深まるのを感じました。
-KUDEN rinlife Magazine vol.1
Writer:内藤 春美
