いつもKUDEN by TAKAHIRO SATOを応援してくださり、本当にありがとうございます。代表であり、デザイナーの佐藤貴浩です。

今日は、ブランド立ち上げの初期から僕たちを信じ、共に歩んでくださった皆さんに、僕自身の心の中にある深い葛藤と、どうしてもお伝えしなければならない「日本のモノづくりの厳しい現実」、そしてこれからのKUDENの決断について、嘘偽りなくお話ししたいと思います。

結論から申し上げます。5月15日より、KUDENの服は、これまでよりも高い価格帯(職人の手仕事に、正当な価値を付ける道)へとシフトし、Shirtなどのトップス以外は職人が一着からお作りする完全受注生産での展開へと形を変えていきます。

「なぜ、そんな決断をしたのか」

この数ヶ月、いや数年、僕はそのことばかりを考え、悩み続けてきました。

現在、日本の縫製工場は、高齢化や長引く不況、コストの高騰により、軒並み破綻し、姿を消しています。僕がデザインした服を、世界に誇るクオリティで形にしてくれる職人さんたちが、本当に文字通り「いなくなっている」のです。その過酷な状況下で、これからも「メイド・イン・ジャパン」の品質を守り、職人さんたちに適正な工賃を支払い続けるためには、ブランドとして服の価格を上げるしか、生き残る道はありません。

しかし、その論理的な正解が分かっていても、僕の心は激しく抵抗しました。

「今までKUDENを愛し、手が届く価格だったからこそ買ってくれていたお客様を、置いてけぼりにしてしまうのではないか」
「価格を上げれば、皆さんに非道な裏切りだと感じさせてしまうのではないか」

その申し訳なさと恐怖で、利益が出ないと分かっていながら、価格を据え置くことに固執し、言い訳を探しては小さくまとまろうとしていた自分がいました。

でも、ある時、気付かされたのです。
価格を上げず、会社が立ち行かなくなり、僕が倒れてしまったら、誰が一番悲しむのか。そして、誰に対する一番の裏切りになるのか、と。

僕がKUDENを立ち上げた本当の理由。それは、昔から皆さんにずっとお伝えしてきた「障がいのある息子と一緒に働く場所を創る」という夢です。

そして今、その夢に名前を付けました。日光の地に「KUDEN Village」という場所を創ることです。僕の息子であるタケルや、彼と同じようにハンディキャップを持つ子供たちが、将来、日本の伝統技術を持つ職人さんたちと共に、誇りを持って働ける場所を創る。

その「変わらない未来」との約束を果たすためには、僕自身が過去への執着を手放し、ブランドを次のステージへと進化させる「変わる覚悟」を持たなければなりませんでした。

服の価格は上がります。頻繁には買えなくなってしまうかもしれません。

ですが、だからこそ、すでにお手元にあるKUDENの服を「一生モノ」として長く、大切に着続けていただくためのサポートに、僕はこれまで以上に力を入れていきます。

KUDENには現在、「KUDENコンシェルジュ」という着こなしのアドバイスやリペア(修繕)のご相談をお受けする窓口があります。これは「良いものを長く大切に使う暮らし」を皆さんと共に体現していくために生まれたサービスです。

現在、元・縫製工場の社長という非常に心強いパートナーと共に、日本国内にお住まいのお客様へ向けたこの体制を強化しています。今まで通りのリペアのご相談はもちろん、クリーニングやプロによる仕上げのプレスなども承り、皆さんの感着ある一着をよみがえらせ、長く共に歩んでいただけるよう全力で努めて参ります。

なぜ、ここまで体制を整えるのか。それは、新しい服を売ることだけが僕の仕事ではないからです。
あなたが以前手にとってくれたその一着が、10年後もあなたの人生に寄り添っていること。それを守り抜くことこそが、僕が一点生産のハイエンドなモノづくりへと舵を切る際に自分自身に課した、皆さんへの絶対的な約束です。

新しい服を頻繁には買えなくても、これまで支えてくださった皆さんとの「縁」が切れるとは、僕は少しも思っていません。

僕たちには今、着物をはじめとした日本文化を愛する皆さんと日常的に繋がり続けるための『rinlife Magazine』があります。さらに深く僕たちの活動に参加していただけるrinlife Magazine会員制フォーラム(無料登録)や、サブスクリプション会員限定の会報誌『すき』もご用意しました。

服という形だけでなく、読み物としてKUDENの世界観を楽しんでいただいたり、コミュニティへの参加という形で、KUDENの思想に触れ、職人の技術を守り、未来の働く場所を共に創り上げる「パートナー」として、これからも皆さんと繋がり続けていく場所はここにあります。

KUDENはこれから、単なるアパレルブランドから、日本の文化と未来の職場を守るためのエコシステムへと成長していきます。現在、水面下で新しい生産体制の準備を進めている最中です。

どうか、これからのKUDENの不器用な、しかし本気の挑戦を、引き続き見守っていただければ幸いです。

これからも、よろしくお願いいたします。