「貴延殿!!」 源じいは相対する壱伍の喉元に向けて大倶利伽羅広光の切っ先を向けたまま、戦闘態勢を崩さずに貴延を呼ぶ。 「源じい、あの力…刀は何か変だ。嫌な気を吐き出してやがる。存在自体が歪で不安定…。今にも力が膨れ上がって暴走しそうに呻いてるように感じる…」 貴延は源じいにそう答え、ステージに立つ壱伍に向かって言い放つ。「おい、てめぇ。次は容赦...
「貴延殿!!」 源じいは相対する壱伍の喉元に向けて大倶利伽羅広光の切っ先を向けたまま、戦闘態勢を崩さずに貴延を呼ぶ。 「源じい、あの力…刀は何か変だ。嫌な気を吐き出してやがる。存在自体が歪で不安定…。今にも力が膨れ上がって暴走しそうに呻いてるように感じる…」 貴延は源じいにそう答え、ステージに立つ壱伍に向かって言い放つ。「おい、てめぇ。次は容赦...
オークション開場がにわかにざわつき始める。 ステージでは先程のタキシードの男がオークション開演を告げたが、そのあと男は帽子に手を当て頭を下げたまま微動だにせず、不自然に沈黙していた。 とうに開演時間が過ぎ、ステージが暗いまま舞台裏のバックヤードが騒がしく動く騒音が聞こえ漏れてくることで、流石に異変に気付いた来場客達が何事が起きたのかと騒ぎ始める。 ...
「しくじったわね。シドウ…」 アイシャが哀れみの目で、目の前に横たわる血だらけの男がかすかに息をして動いている姿を捉える。 「金星会にも手練れがいたってことだ…ヘタ打ったぜ。結構気に入ってたんだがな…この肉体…」 男が息も絶え絶えに、言葉を発する…が表情は死にそうだが、声色が嬉しそうで、違和感...
「ハッ!!」「ケンタ殿! 丹田に力を入れ、他は余分な力を抜いて!」「はっ!」「ソウジ、眠いのか? また遅くまでゲームで遊んでおるからだろう!」「はっ! すみませーーん!」 まだ朝日が昇り始めた時間のホテルの屋上のプールサイド。 その空いてるスペースに、宿泊客のセレブとは異色の客が4人。 胴着を着て素振りをする源じいとソウジとケンタ…と貴延の姿が。 「どうです? 貴延殿。悩...
楽屋に飛び込む貴延。そこには先程の人形浄瑠璃に出演していた太夫の男。サキジュ太夫であった。 「なんだい? あんたは。いきなり人の楽屋に飛び込んできて…」 「アイシャ、いやあの女義太夫はどこだ? 珍しく三味線も弾く…」 「アイシャ? 三味線…。ああ、愛染太夫のことだね」 よく通る声で背筋が...
カン カン カン カン カン カンカンカンカンカンカンカン カン! 乾いた木で出来た拍子木がぶつかり合う音が会場に響く。 暗がりの舞台の前通路。 通路右袖から黒い頭巾と顔を覆う布、全身黒づくめの男が登場する。 男はマイクを使わず地の声で告げる。 「新撰組演義 池田屋事変 京都三条木屋町会合の段〜」 舞台の右側...
「母ちゃん…」 小さな男の子がその小さな手に大切そうに抱えてきた薬を母に手渡す。 「ありがとう壱伍…」 そう言って母親が辛そうに上半身をゆっくり起こすと、男の子の薬を受け取り、頭を撫でる。 母に頭を撫でられた男の子の顔は、汚れた身なりを吹き飛ばすようなキラキラとした笑顔になった。 「母ちゃん、大丈夫? ぼくまたがん...
「ごちそうさまー」 タケルは手を合わせてご馳走様をする。 「美味しかったー」 ソウジとタケルはお腹いっぱいになってぽっこり膨らんだお腹をさする。 「タケル、ホテルの部屋にゲーム機あったよ、遊ぼう!」 「あそぼうよ!」 2人はまだ食べ終わらない源じい達を尻目に、早く部屋に帰りたくてうずうずしている。 「こら、タケル。みんなが...
チィチキチィチキチィチキチィチキチィチキチィチキチィチキチィチキパパッパァーーーーーーーーーパァーーーーーーーーーズン ズン ズン ズン ズン ズンズン パァーーーーーーーーーーーーー ホテル「ウイン・ベルヴィーナス・カジノ」のレストランのステージで今日もJazzの演奏が鳴り響く。 …どう?私たちの演奏は?…トランペットを持つ太めの男性に向けて...
ボロロロロォン 空冷式エンジンを唸らせながら、海沿いの高速道路を走る黒い車。 「リーさん、ちょっと暑いんで窓開けて良いですか?」 そう言い終わらないうちに、取っ手を回して手動で窓ガラスを開けるアサミ。 「あー海風気持ちいい! …なんで今時こんなアンティークな車なんですか? それにノイバラ区のカジノエリアなら特急で1時間半で着くの...
ピーポーピーポーピーポー侍団の見廻り隊のパトカーが何台も応援に駆けつける。サクラ区の南西、ノイバラ区の港湾の埠頭。この港湾のエリアは周りを海に囲まれたベル国の貿易の要である。その埠頭の貨物の保管および荷役などの機能をもつ倉庫区域の外れ。いつもは人が少ない静かな場所なのだが、今日は騒がしい。ドロロロロン、ボン。最新鋭のドローンカーの隙間を縫って黒い流線型ボディのクラシックな車が今にも壊れそうな...
動きを止めようとソウジが工事用エクスクァードを牽制する。 だが、コンピューターウイルスによる暴走。 人が何かの意図をもって動かしている訳では無いので、ソウジとケンタはその動きが読めないでいた。 「動き、めちゃくちゃだな」 「うん。読みづらい、というか読めない」 ケンタは工事用エクスクァードの足下に逃げずにいる人影を確認した。&nb...
「うわぁー、流石に痛ぇーな! エネルギーキューブの力で少しづつ痛みが消えてるのが助かるわ。…でも楽しかったな! セイ?」 「まさか、あっちから乗り込んで来るとはな…」 やれやれと頭をかくセイ。 そのセイとムンバのやり取りを傍らで聞いていた男が呟く。 「やっぱり暴走したか…それはそれで兵器としては...
ドゴンッ。 吹っ飛んで壁に激突したムンバ。ケンタの蹴りの勢いとムンバの全体重がかかり、壁が崩れて隣の部屋に瓦礫ごと倒れ込む。 瓦礫を払い落としながらムンバは、頭を左右に振りゆっくり上半身を起こす。 「これこれ、こういうのだよ!」 ケンタの蹴りをまともに受けて、口の中を切ったらしく腕で血を拭きながらそれでも嬉しそうである。 「お前の名前は?」 ムンバはケンタに問いかける。 「&...
「はあっはっはあーっ。楽しませてくれよ!!!!」 ムンバの両腕に仕込まれたチェーンソーの刃が勢いよく回転し、広い応接室の高そうな調度品や家具をお構いなしに破壊する。 最上階のこのフロアは広く、天上が高い。天井には大きなガラスのシャンデリアが吊り下がっている。 セイ達がいた応接室の後ろ側は壁一面の大きなガラス窓で、その一番眺望の良い場所に組長の豪華な木造のデスクとチェアがある。 そのデスク...
「待ってくれ!」 カボチャ頭を脱ぐと、まだ幼さが残る青年が懇願する。 「あなた達は?」 ミサ姫がこのグループのリーダーらしきカボチャ頭を脱いだ青年に質問する。 「お、俺たちはヒマリとミハエルをさらった奴がこのアジトに向かってるって聞いて…」「さ、さらった?!」 ミサはひどく調子はずれの高い声で驚いた。 「俺たちのグループの中で一番年下の仲間なんだ、頼む返してく...
「誰か! 早くこの子を!」 ミサ姫が病院の窓口で声を上げる。 その声を聞いた看護師が駆けつける。 「どうしました?」 看護師の女性が声をかけてくる。 ソウジの背中に女の子がぐったりとおんぶされているのを見ると、察した様に待合室のソファを指差す。 ソウジはおんぶした女の子をそっと下ろし、看護師がソファに寝かせる。 看護師がテキパキと女の子の身体を調べていく。 「すごい熱ね。こんなに...