KUDENヒストリー「旅するように暮らそう。」その2
「人生初のホームステイ水道の通らない村で」
「イテテッ」木のすのこで出来てる二段ベットの上段で、背中の痛みで目が覚める。
「ん、ここ何処だっけ?」
昨日は子ども達の歓迎の歌と踊りを酒の肴に、村長さん秘蔵のブランデーをガンガン飲みながら子ども達と紙風船で遊んで…そうかここは日本じゃ無かった。
2016年1月。 今、僕はフィリピンのパンガシナン州マンガタレム市カタラタラーン村の村長の家にホームステイさせて貰ってるんだった。
寝ぼけ眼で起き上がって、思わず軋んだ木製の二段ベッドに体勢を崩して落ちそうになった。懐かしい。 そういえば、実家で小学校の低学年まで弟と二段ベッドを使ってたな。 下の段では一緒に研修に来ている仲間の箭木さんがまだ寝ている。 昨夜は箭木さんがお土産で持ってきていた「紙風船」と「こま」が子ども達に大人気だった。紙風船を地面に落としたら負け!ルールを僕が勝手に作って、夜遅くまで子ども達としこたま遊んで酔いが回ってベッドにしな垂れこんだ所までで記憶は止まってた。 フィリピンの子ども達はみんな人懐っこい。 いや、大人もシャイだけど人懐っこい人が多い気がする。
国民性だろうか。久しぶりに子ども達とおもいっきり遊べてうれしかった。 離れて暮らす息子と同い年くらいの子も居て、久々にお父さん気分を味合わせて貰えて、今でもじーんと心が温かくなってる。みんな遊んでくれてありがとう。 流石に二度寝すると6時出発のバスに乗り遅れそうなので起きて散歩しよう。 顔を洗おうとしたらまだ薄暗い早朝の空の下、村長さんと奥さんがみんなの朝食やお弁当の支度を始めていた。 「グッドモーニング!」英語は全然出来ないけど、男は度胸と愛嬌だと笑顔で挨拶!「Good morning!」と村長さんと奥さん。 奥さんは外でかまどにたき火をくべて、朝食の準備と、僕らの森林再生体験の為のお弁当の準備をするべく、奥さんの身長ほどの長さがある大きなバナナの葉っぱの真ん中の筋を鉈を使って軽やかに切り落とす。じつはこれがお弁当箱になるって知ったのはその後の事だった。 「顔洗ってきます!」(日・本・語・で!)そういって井戸に向かった。 この村には電気とインターネットは来ているのに、水道は無い。なにこのアンバランス。 トイレももちろん水洗ではなく、便器の横の水桶で流す。手押しポンプの井戸を素早く5プッシュ位して、水が止まらないうちに顔を素早く洗う、がすぐに水が止まる。 うん、面倒くさい。 日本では1月。ちょー真冬だがここはフィリピン。早朝でもぜんぜん暖かい。ポンプを押すのが面倒くさくなってシャツを脱ぎ捨てて桶に水を貯めて一気に頭から水を浴びる。気持ちいい!
意外にどんな環境でも生きていけるな、俺。 新しい自分の可能性を感じつつ、見ず知らずの国の見ず知らずのお宅でおもいっきりあくびをしながら思った。
すっきりして戻ってくると村長がマグカップと、コーヒーとミルクが混ざった甘い袋を手渡してくれる。「Do you drink coffee in the morning?」 糖尿病の僕は旅先でも糖質制限の食事で血糖値をコントロールしているので、村長さんの気持ちだけを快く頂いて、お湯を入れて味わった。(余談だけど、フィリピンの人は甘いのが大好き。セブンイレブンに行ったら殆ど甘いお菓子ばっかりだったし、現地のNGOのハリボン財団のコーディネーターに聞いたら、糖尿病の人も多いんだって)
英語が出来ないんだけど、村長さんと2人きりになって、どうしても語らいたくて知ってる単語をフル動員して足らない部分は気持ちと身振りで補って言葉も文化も生い立ちも違う2人で語り合う。
次回に続きます。
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