Designer’s Voice #2

KUDENのDESIGNERである佐藤貴浩の日々の暮らしで得た思い、発見などを綴ります。 エシカルな生活を実践する彼の日常や、デザイナーとしての思考を、彼の言葉でお届けします。

July 19, 2019
Yano Sena
PR / Voice actor


皆さんこんにちは。 今回お届けするのは、デザイナーTakahiro Satoのインタビュー第2弾です。 Samurai ModeシリーズとKimonoの関係や、Samurai Modeをデザインするにあたってのインスピレーションなどを語ってくれました。

Designer’s Voice #2

  - 前回のインタビューでは、日常からkimonoは姿を消しつつあるという話をうかがいました。 それでは”現代のライフスタイルに適したkimono”はどんなものだと考えますか? 

デザインに入る前に最初にしたことは、ヴィンテージのkimonoや羽織を着てみる事からだったんだ。日本語には「温故知新」という言葉があり、「昔のことを研究すると、そこから新しい考えや知識を導きだせ る」という意味なんだ。何が現代のライフスタイルに合わないのか?を探るのに、着付けのこと、素材、手入れ方法などを実際に着ることを体 験して、学ぶことから始めたよ。Kimonoを研究することによって、何が現代のライフスタイルに合わないのか?が浮き彫りになってきたんだ。 たとえば、お手入れに関しても昔の正絹(シルク)などは特殊なク リーニングが必要で、Kimono専用のクリーニングサービスが日本にはある程なんだよ。最近はポリエステルなどの洗える着物が出てきているけど、着付けが必要なことや、着ていく場所が限られていることに は変わりが無いんだ。その為今回のSamurai Mode Seriesをデザイ ン す る 上 で 、「 着 や す さ 」「 手 入 れ の し 易 さ 」「 シ ル エ ッ ト の 美 し さ 」 を 追 求する事をコンセプトに掲げたんだ。

  

- コンセプトが生まれたのですね。そこからすぐにデザインが出来たのですか?

そのコンセプトを元にデザインラフを何度も書き直し、Kimonoや服の構造を知るために、自分でミシンで服や着物を縫うことを何度も行った。ミシンでまっすぐ縫うことも出来ない自分を知り、腕の良い縫 製職人を改めて尊敬したことは言うまでもないよ。 今回、最初に販売を スタートするのはSamurai Mode Jacketと名付けたジャケットになる。Kimonoに置き換えると羽織に相当する服になるんだけど、シャツ とパンツもジャケットと同時にデザインしていて、3つをあわせることで、遠目からみたらkimonoを着ているようにデザインしているんだ。 ただ、基本的にみんなに馴染みのあるジャケットとパンツとシャツな のでKimonoの様な着付けが必要が無く、誰でも着こなして貰えると思うな。

  

-誰でも着こなせる着物としてデザインするにあたって、その他に重要視した点や、難しかった点はありますか?

和裁と洋裁の違いということも、デザインをする上で、忘れては いけないポイントだった。洋裁は着る人の身体に合わせた型紙を作成し、パーツに分けた生地を縫うことで立体的な服を作る手法。和装では、反物という一枚の布からkimonoを仕立てる。Samurai Mode Jacketを例に和裁と洋裁の違いをもう少し詳しく話すとKimonoを作る手法の和裁は反物を1本を身体に当てて、着る人の身体に合った丈や使用する反物の長さを決めていく 。 リメイクや世代を超えてkimonoが残る様にしている事から、和裁は最初に「kimono」ありき で作り方の思想がスタートしているとも言えるね。 その為に反物(生 地)に戻す事を考えて、型紙を作らず裁断と縫製が行われるのが和装 でありkimonoの作り方になる。 洋裁は「人」ありきで作り方の思想がスタートしてると言えると考えている。洋裁は人ありきなので人にあわせた型紙から裁断が行われ、反物(生地)に戻すことを想定していない。このように2つの服の作り方の手法は違いがあると私は考えているんだ。

パタンナーとの打ち合わせ。彼女達は良き相談相手になってくれた。

  

- お話を聞いていると、着物は着るだけでなく作るのも大変そうですね?

ですがKimonoというのは、一回作ったらそれで終わりというモノでは無く、 成長を見越して丈を伸ばせるようにあらかじめ仕立てていたり、汚れたり破れたときには修復したり、仕立て直して別の人が着たりKimonoを羽織に作り直したり、親から子へ子から孫へと次の世代に受け継いだり日本では1着のkimonoを、工夫して長く大切に着続けてきたんだ。 このようにkimonoは「一つのデザイン」にもかかわらず、生地の選択によって、日常着から晴れの日の格式あるkimonoと作り分けることも出来るし、Kimonoや帯、半襟などの組み合わせやアレンジ次第で、着る人によって組み合わせが無限に楽しめる、ロングライフデザインであると言えると思うな。

  

-その着物を、Samurai Modeシリーズとしてデザインし直したんですね?

私が今回のでザインを考える上で、現代のライフスタイルにあった kimonoを再解釈するにあたって和裁の良いところ、洋裁の良いところ も、両方着ている私は理解しているので、出来るだけ、両方の良いところを取り入れていこうと考え、デザインを起こしている 。 もちろん、パ ッと見た最初の印象としては、Kimonoテイストが色濃く出ていると思う。実際に今回の服は、シルエットの全体の印象はkimonoだけど、作り方のアプローチは洋裁を採用しているんだ。 どんな理由で洋裁を採用したかというと、和裁のKimonoは直線的な布1枚でできているので、どうしてもシルエットが直線になりがち。今回の服をデザインする上で、どんな不都合が起きるかというと、やっぱり肩周りや胸回りのシ ルエットが、生地が直線的だということに影響されて、肩から腕に落ちるシルエットのラインが、どうしても膨らんでしまう。着た際に、言い方が悪いけど、太って見えてしまったんだよね。 また、今回のSamurai ModeSeriesのコンセプトの「シルエットの美しさ」を深めて行く為の 一つのアイデアに、「風を纏う」というのイメージが頭にあって、この服を着た人が、Samuraiの様に背筋を延ばして、堂々とした姿勢で、颯爽とジャケットを風になびかせて歩いているイメージをどうしても実現したかったんだ。着ている人が歩く度に、風を纏う感じをだしたかったので、動く度に風になびくような生地の落ち感を出したかった。 そのシルエットを実現するために肩周りのデザインやパターンに工夫を凝らす事を思いついたときに、洋裁の手法を採用しようと決めたんだ。洋裁 に不可欠なパタンナーを選ぶ時も、なるべくベテランで、kimonoに慣 れ親しんだ経験がある人にお願いするようにしたんだ。生地を選ぶ時も落ち感を大事にしてたくさんの生地から試行錯誤で選んだよ。

A part of kimono called "tamoto"

着物の袂(たもと)と呼ばれる部分。

  

- シルエットの美しさの話がでましたが、着物の最も美しいポイントはどこだと思いますか?

Kimonoのシルエットを色濃く出しているのは袂(たもと)と呼ばれる袖 のデザインになると思う。Kimonoになじみのない人には、手で物を取 る動作に対しても邪魔な存在かもしれないけれど、あえてデザインとして残した部分なんだ。 これが残っていることで、私のJacketは kimonoを再起動したシンボルになると考えている。 そもそもなぜ kimonoには袂というものがあるのか?諸説がいろいろあって、はっきりしたことは分かって居ないのだけど、日本人の古来からの価値観が影響していると私は考えているんだ。 元来、日本人は合理性よりも精 神性に重きをおく所があると私は考えていて、「所作」という動きの美しさを表す言葉が日本語にはあるんだけど、『行い、 振る舞い、しわざ』『身のこなし、しぐさ』などを意味する言葉なんだ。袂があることで、髪をかき上げる動作、物を取る動作など、手の動きにkimonoの袂の生地が優雅にまとわりつく所作で産み出される、「生地と人間の身体が織りなす」シルエットの美しさ、Kimonoと人間の動きが絡み合って巻き起こすシルエットこそ、『kimono + 動作 = デザイン = 美しさ 』 Kimonoと「所作」が合わさって初めて美しさが現れるファッションだと強く感じるね。 このように僕はkimonoの美しさを捉えている。だから袂を残すことに決めたんだ。

ジャケットの肩のシルエットラインは特に拘った部分だ。

生地の選定。質感も色もこだわった。

  

- 着物はとても奥深いものですね。

kimonoを現代のライフスタイルにあった解釈で再デザインする。 これが解決出来れは、まずはkimonoの良さを、着付け無しで気軽に生活に取り入れて貰って、Kimonoへの興味の段階が更に深まれば、次のステップである、着付けが必要な伝統的なkimonoへとステップアップしたくなる。KUDENでも着付けを教えるコンテンツも用意して更に奥深いkimonoの世界に脚を踏み入れて貰う切っ掛けを作りたいね。そんな裾野を広めるための日常に着ることの出来る新しい入門用のkimonoとして、デザインを昇華する事ができたと感じているんだ。いずれパリやロンドンやニューヨークで僕のkimonoのオートクチュールが作れるサロンも開きたいね。

  

いかがでしたか?次回は彼のデザイナーとして原点を紹介します。

→Designer’s Voice #1

→Designer’s Voice #2

→Designer’s Voice #3

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